両利きの経営

「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

チャールズ・A・オライリー著/マイケル・L・タッシュマン著/入山 章栄監訳/冨山 和彦解説/渡部 典子訳

「両利きの経営」とは?
知の探索……自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする行為
 +
知の深化……自身・自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく行為

両利きの経営が行えている企業ほど、イノベーションが起き、パフォーマンスが高くなる傾向は、多くの経営学の実証研究で示されている。


世界のイノベーション研究の最重要理論「両利きの経営」に関する初の体系的な解説書。日本では、クリステンセン教授のベストセラー『イノベーターのジレンマ』がよく知られているが、世界の経営学は、こちらが主流である。本書は、世界の経営学をリードするオライリー教授とタッシュマン教授による実践的な経営書である。豊富な事例を挙げて、成功の罠にはまった企業・リーダーと、変化に適応して成長できたそれとを対比させながら、イノベーションで既存事業を強化しつつ(深化)、従来とは異なるケイパビリティが求められる新規事業を開拓し(探索)、変化に適応する両利きの経営のコンセプトや実践のポイントを解説する。これは、多くの成熟企業にとって陥りがちな罠であり、イノベーション実現に必要な処方箋が、この理論の中にある。日本語版として、気鋭の経営学者である入山章栄氏による理論の背景、冨山和彦氏による実務の最前線からの日本企業への示唆という「W解説」を収録する。


「成熟企業にとっての永遠の難題は何か。中核事業を維持しながら、同時にイノベーションを起こし、新たな成長を追求していくことである。本書は、それに対する洞察に満ちた解決策を提供してくれる」 ――クレイトン・クレイテンセン(ハーバード・ビジネス・スクール教授)

概要

世界最先端のイノベーション理論「両利きの経営」の初の体系的解説書。研究・実務の第一人者による解説を収録。

目次

解説 なぜ「両利きの経営」が何よりも重要か(入山章栄)

第1部 基礎編:破壊にさらされる中でリードする
 第1章 イノベーションという難題
 第2章 探索と深化
 第3章 イノベーションストリームとのバランスを実現させる
第2部 両利きの実践:イノベーションのジレンマを解決する
 第4章 6つのイノベーションストーリー
 第5章 「正しい」対「ほぼ正しい」
第3部 飛躍する:両利きの経営を徹底させる
 第6章 両利きの要件とは?
 第7章 要としてのリーダー(および幹部チーム)
 第8章 変革と戦略的刷新をリードする

解説 イノベーションの時代の経営に関する卓越した指南書(冨山和彦)

著者プロフィール

チャールズ・A・オライリー  【著】
ちゃーるず・A・おらいりー

カリフォルニア大学バークレー校で情報システム学の修士号、組織行動論の博士号を取得。同校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授などを経て現職。専門はリーダーシップ、組織文化、人事マネジメント、イノベーションなど。スタンフォード大学のティーチングアワードやアカデミー・オブ・マネジメント生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、欧米やアジアの幅広い企業向けにコンサルティング活動やマネジメント研修(破壊に対応するための企業変革や組織刷新、リーダーシップなどのプログラム)に従事してきた。スタンフォード大学のSEP(エグゼクティブ・プログラム)でも教鞭を執る。主な著書にWinning Through Innovation(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Hidden Value(邦訳『隠れた人材価値』翔泳社)などのほか、論文や記事の執筆も多数。

マイケル・L・タッシュマン  【著】
まいける・L・たっしゅまん

コーネル大学で科学修士号、マサチューセッツ工科大学(MIT)で組織行動論の博士号を取得。コロンビア大学教授、MIT客員教授、フランスINSEAD教授などを経て現職。専門は技術経営、リーダーシップ、組織変革など。アカデミー・オブ・マネジメント特別功労賞や全米人材開発機構(ASTD)生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、コンサルティング活動やマネジメント研修に従事。ハーバード・ビジネススクールのAMP(アドバンスト・マネジメント・プログラム)、マネジメント育成・変革リーダーシップ・組織刷新プログラムのファカルティ・ディレクターも務める。主な著書にWinning Through Innovation(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Competing by Design(邦訳『競争優位の組織設計』春秋社)などがある。

入山 章栄  【監訳】
いりやま あきえ

1972年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所で主に自動車メーカーや国内外政府機関へのコンサルティング業務に従事した後、2008年にピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタントプロフェッサーを経て、2013年より現職。専門は経営戦略論、国際経営論。主な著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)、『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社)のほか、Strategic Management Journal、Journal of International Business Studiesなどの国際的ジャーナルへの論文発表も多数。

冨山 和彦  【解説】
とやま かずひこ

1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。パナソニック社外取締役、東京電力ホールディングス社外取締役、経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『会社は頭から腐る』(ダイヤモンド社)、『AI経営で会社は甦る』(文藝春秋)、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)などがある。

渡部 典子  【訳】
わたなべのりこ

ビジネス書の翻訳、記事執筆、編集などに従事。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。研修サービス会社などを経て独立。
主な訳書に『プラットフォーム・レボリューション』『リバース・イノベーション』(いずれもダイヤモンド社)、『バフェット 伝説の投資教室』(日本経済新聞出版社)、『最強の商品開発』(中央経済社)などがある。

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